だんじり考(中)
youtube「'97- 岸和田だんじり祭り 事故集」
まず、その圧倒的な猪突猛進ぶりだ。盆踊りとはあまりにも対照的な、直線的な動きである。だんじりは、あらゆる社会や組織がときとして持ちうる破滅性を、ほかの何よりもみごとに表現している。
男たちが「だんじり」とよばれる山車を無謀とも思えるスピードで狭い路地を引き回したり、それ同士をぶつけ合って勝負したりする。だんじりの転倒や衝突はあたりまえだ。電信柱を倒したり、民家に突っ込むこともざらだし、毎年、何人も死ぬ。
関東からわざわざ参戦したとなれば一生ハナシのネタになりそうなものである。名残り惜しさにネットでだんじりを検索してみると、どういうわけかyoutubeにけっこうな数の動画がアップされている。
じっさいに映像で見るのははじめてだったのだが、たちまち目が釘付けになった。しばらく見ていたら、やはりそこにひとつの世界の縮図が見えてしまい、とてつもないもの悲しさにおそわれた。
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まず、その圧倒的な猪突猛進ぶりだ。盆踊りとはあまりにも対照的な、直線的な動きである。あらゆる社会や組織がときとして持ちうる破滅性を、ほかの何よりもみごとに表現している。
たとえばそれは、身もフタもない例えかたをすれば、ファシズムに傾倒する国家のようでもあり、新自由主義や資本主義の原則に忠実に従って盲進する企業のようでもあり、テロへと突き進む宗教的または思想的団体のようでもある…。
だんじりの周りに蟻のように群がる無数の男たちは、そういった社会や組織や団体に属する兵隊たち、あるいは会社員たち、信者たちだ。このだんじりの場においては、おのおのの個性や人格はまったく隠蔽されてしまっている。ひとりやふたり程度が転ぼうとも、置いてけぼりにされようとも、大勢にはまったく影響もなく、そして落伍者が省みられることはない。(続く)
